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1.設立趣旨

 国は半世紀以上にわたって自動車に依存してきた交通政策を一転し、LRTの導入やバス交通・地方鉄道の活性化、自転車交通など地域交通のあらゆる課題について、行政・公共交通事業者・市民等が協議し、最適な地域公共交通の実現をめざして積極的に推進する地域を総合的に支援するという画期的な法律「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律」を2007年10月に施行した。それを受けて、浜松市議を中心に地元県議・国会議員58名による「地域公共交通活性化推進議員連盟」が設立された。市民の間でも数年にわたってLRTとパーク&ライドによる新交通システム導入推進運動が続けられており、7路線、延べ60.8kmのLRT敷設構想が提案されている。
 浜松市の公共交通分担率は6.1%と極めて低く、さらに合併によって市域が広大になったことから、車に過度に依存した交通政策を抜本的に見直し、浜松都市圏全体の公共交通の活性化を図ることが大きな政治課題となっている。環境問題・交通弱者問題、中心市街地再生、観光振興、コンパクな都市づくりなど現実的に行き詰った都市問題に対応するため、自動車交通から公共交通へのモーダルシフトは今や世界的な流れとなっている。そこで、大学と市民・企業等が協働して、浜松都市圏全体の総合交通政策について研究し、市民からの提案として浜松市・市議会・関係機関等に提案を行う。

2.研究の目的

1)グランドデザインの見直し
浜松市の総合交通計画は、自動車に依存した旧時代のグランドデザインに基づいているため、地域公共交通活性化法をもとに半世紀先を見据えたグランドデザインについて研究と提案を行う。
2)浜松都市圏における具体的な総合交通計画の提案
鉄道・LRT・バス・タクシー・自動車・二輪車などのすべての交通機関を対象に、実現を前提とした総合的・具体的・学術的な研究と提案を行う。
3)2017年の実現を目標とした具体的な提案
2017年には団塊の世代が70歳を迎え、多くの市民が車の運転から遠ざかるようになるため、2017年の実現を目標に誰もが容易に移動できる都市づくりをめざす。

3.地域公共交通活性化の具体的な目標

1)公共交通分担率を3倍に引き上げる
  ・現状は6.1%(バス3.7%+鉄道2.4%)
  ・公共交通全体の運行効率と採算性の向上
2)環境問題への対応(持続可能な都市づくり)
3)高齢社会、交通弱者への対応
4)中心市街地の再生と地域経済・観光振興
5)浜松型コンパクトシティの実現

4.研究テーマ

第1部会:新交通システム導入による環境改善効果について
第2部会:運輸連合による地域公共交通の活性化について
第3部会:歩行者と自転車のまちづくりについて
第4部会:LRT車両デザイン・電停デザインについて

5.研究組織

1)静岡文化芸術大学と静岡大学を中心に、都市交通・環境問題等に関心をもつ教官や学生・市民・企業・公共交通事業者・商業者・学校関係者などにより構成する。
2)全体会と部会で構成する。
3)全体会・部会等の開催準備・連絡及び提案書の編集等は事務局が担当する。
4)各大学に担当窓口をおく
  ・静岡文化芸術大学 川口研究室
  ・静岡大学工学部  松田研究室

6.会長・部会長・事務局

・会   長:川口 宗敏 (静岡文化芸術大学大学院デザイン研究科教授)
・副 会 長:松田  智 (静岡大学工学部物質工学科准教授)
・第1部会長 松田  智 (静岡大学工学部物質工学科准教授)
・第2部会長:根本 敏行 (静岡文化芸術大学大学院文化政策研究科教授)
       戸田 三津夫(静岡大学工学部物質工学科准教授)
・第3部会長:古瀬  敏 (静岡文化芸術大学大学院デザイン研究科教授)
・第4部会長:河岡 徳彦 (静岡文化芸術大学デザイン学部生産造形学科教授)
       佐井 国夫 (静岡文化芸術大学大学院デザイン研究科教授)
・事 務 局 長:内田 宏康 (浜松都市環境フォーラム代表)

7.研究期間

1)研究期間:2008年4月25日(設立総会)から2010年3月末日まで。

8.研究活動の進め方

1)部 会(月1回程度のペースで開催)
・開催日時:部会ごとに集まりやすい日時を協議して決める。
・会  場:静岡文化芸術大学講義室他で開催
・中間報告:1年後に中間報告書にまとめる
2)全体会(3~4ヶ月に一度開催)
部会間の情報交換と連絡調整、修正を重ねながら提案内容の質を高めていく。
3)関係機関との連携
国土交通省をはじめ、浜松市、地域公共交通活性化推進議員連盟等と連携し、幅広く情報を交換し研究を進めていく。
4)市民・マスコミへの情報公開
研究会は公開とし、マスコミへの情報提供を積極的に進め、住民の合意形成に役立てていく。ホームページからも情報を発信していく。

9.提案書の作成

研究期間が短いため、研究活動と並行して先行できるところから編集作業を進めていく。事務局を中心に会長、部会長と連携をとり編集・修正を重ねながら提案書にまとめていく。
1)提案の主旨について
 ・合併・政令指定都市移行による市域拡大に伴う総合交通計画の見直し
 ・地域公共交通活性化法にもとづく総合交通計画の抜本的見直し
2)公共交通の現況と課題について
 ・都市間交通(富士山静岡空港・新幹線・JR東海道線)
 ・地域内交通(遠州鉄道・バス・天竜浜名湖鉄道・浜名湖観光船)
 ・自動車交通(渋滞・排気ガス・交通事故)
 ・二輪車交通(通勤・通学・買物・交通事故)
3)新交通システムと運輸連合による都市再生計画について
 ・LRTとパーク&ライドによる新交通システム
 ・運輸連合による公共交通分担率3倍増計画
 ・運輸連合実現のための税制改革案
 ・公共交通空白域整備計画(集約拠点・住宅団地・山間地等)
 ・遠州鉄道サイクル&ライド、バス&ライド計画
 ・天竜浜名湖鉄道再生計画
4)環境問題への対応について
 ・渋滞・騒音・排気ガス(地球温暖化対策)
 ・都市景観に配慮したまちづくり(架線のないLRT)
5)高齢問題・交通弱者への対応について
 ・公共交通のUD化(シームレスな乗り換え、駅舎・電停のバリアフリー化)
 ・誰にもわかりやすい運行系統とサインシステム(LRT・基幹バス・路線バス)
5)浜松型コンパクトシティづくりについて
 ・公共交通沿線政策によるコンパクトで効率的な都市づくり
6)中心市街地の再生について
 ・大手商業資本の撤退及び中心市街地衰退要因について
 ・新交通システムによる郊外消費者の大量輸送と滞留時間延長計画
 ・ゾーン30、自転車専用レーンによる安全・便利なまちづくり
7)地域経済の振興と観光振興について
 ・浜名湖を核とした国際観光都市づくり
 ・LRT弁天島・三ヶ日線による庄内半島観光振興計画(運河・産業博物館)
 ・富士山静岡空港・鉄道利用客浜名湖誘導計画
 ・東名利用客浜名湖誘導計画(浜名湖SAをミニインターチェンジに)
 ・イベント時大量輸送計画(凧揚げ祭り、浜松アリーナ、浜松球場等)
8)地域公共交通の活性化と再生について
 ・JR駅(高塚駅・天竜川駅・舞阪駅)周辺地域交通ネットワーク計画
 ・JR坪井北駅新設と地域交通ネットワーク計画